2025.03.07
3月になりました。季節の区切り方はいろいろありますが気象では、春は3~5月、夏は6~8月、秋は9~11月、冬は12~2月なので、気象の世界ではいよいよ春です。
「暦の上では春」の2月の立春を過ぎても「春は名のみ」といわれるように、まだ冬の寒さが続きます。特に今年の2月は3日から9日(立春寒波)、17日から24日と寒波が2回もありました。3月になってすぐに暖かくなるというわけではありませんが、3月と聞くと春を感じ、少しホッとしませんか?
天気予報などで「三寒四温」という言葉を見聞きしたことがあるかと思います。3日くらい寒い日が続いた後に4日ほど暖かい日が続いて春に近づいていくという意味で、2月から3月ころに使われます。
実は三寒四温は俳句では冬の季語で、本来は冬に使う言葉です。気象庁の用語の説明にも載っています。
もともとは中国北部の言葉です。この地域の冬は、非常に冷たいシベリア高気圧の影響を受けます。シベリア高気圧は7日くらいの周期で強くなったり弱くなったりするので、寒さが厳しい日と少しゆるむ日を繰り返すことを表しています。
日本の冬では同じような現象は起こりません。でも冬の終わりから春へ向かう時期は、寒い日が3日ほど続いた後に暖かい日が4日くらい続き、これが繰り返す天候になることが多く、こちらを表現する言葉となりました。日本の天候に合わせて、意味や使う時期が変化したと考えられています。
この三寒四温のように、言葉の意味や時期が変化した天気の言葉は、ほかにもあります。もとは梅雨の晴れ間を表す言葉だったのが、5月の晴天も意味するようになった「五月晴れ」もその一つです。
(日本気象予報士会山梨支部・気象予報士・健康気象アドバイザー・防災士 志村啓子)