2024.09.20
9月22日は二十四節気の「秋分」。七十二候は初候「雷乃発声(かみなりのこえをおさむ)」、次候「蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)」、末候「水始涸(みずはじめてかる)」です(図1)。
【図1】
秋分の初候で「雷がおさまる頃」とあるように、雷は夏という印象が強いかもしれませんが、雷は年間を通して発生しています(図2)。宇都宮(栃木)のような内陸部では夏に多く、金沢(石川)のような日本海側では冬に多い傾向です。
【図2】
季節を大切にする俳句にもそれは表れています。雷に関する季語は春夏秋冬のそれぞれの季節にあり、秋の季語には「稲妻」「稲光」と「稲」のつくものがあります(図3・上)。これらは雷の光(電光)をあらわす言葉です。昔はこの電光が稲を実らせると信じられていました。
雷は積乱雲の中で発生し、大量にたまった電気が解放(雷放電)される現象です。雷が発生すると豊作になるといわれています。放電時に作られる窒素が稲の成長を助けるからのようです。
季語や豊作のきっかけなど、「ちょっと良い雷」をみてきましたが、雷は危険な現象です。今月初めにも落雷が原因とみられる事故が発生してけが人が出ています。
雷から身を守るために一番大切ことは、雷の音が聞こえ始めたらすぐに建物や車の中に避難することです。雨が降ってくると木の下で雨宿りしたくなりますが、非常に危険なのでやめましょう。雷は高い所に落ちる性質があり、まずは木に落ちるのですが、木よりも人間の方が電流を通しやすいために木から人間へ電流が流れてしまいます(側撃雷(そくげきらい))。屋内でも壁やコンセントからは1メートル以上離れた方が安全です。
近くに安全な空間がない場合は、木や電柱など高いものからは離れましょう。「保護範囲」とよばれる雷の影響をうけにくい場所があります。木や電柱のてっぺんを45度以上の角度で見上げる範囲で、木や電柱から4メートル離れるとよいといわれています(図3・下)。そして、姿勢をできるだけ低くすることが大切です。
【図】
(日本気象予報士会山梨支部・気象予報士・健康気象アドバイザー・防災士 志村啓子)