2025.06.20
6月21日は夏至。北半球では1年で最も太陽が高く昇り、昼の時間(日の出から日没まで)がいちばん長い日です(図1)。
【図1】
甲府は日の出が午前4時半、日の入りが午後7時5分で、昼の時間は14時間35分。いちばん短い冬至より約5時間長くなります。夏至を境に昼の時間は少しずつ短くなっていきます。本格的な夏はもう少し先ですが、太陽は早くも冬へ進み始めました。
もうすぐ夏を迎える場所といえば、富士山です。例年、山梨県側は7月1日ごろ、静岡県側は7月10日ごろに山開きとなり、どちらも9月10日ごろに閉山します。夏を迎えますが、麓が30度くらいの時、山頂は7度くらいと防寒着が必要な気温です。
さて、山の上の方が太陽に近いのになぜ麓より寒いのか?と疑問に思ったことはありませんか。
富士山は標高3776㍍(約4㌔)ですが、地球から太陽までの距離は約1億5千㌔もあります。麓から4㌔太陽に近くなってもほとんど影響はありません。
ではなぜ山の上は寒いのでしょうか?
それは「気圧」の影響です。
気圧はその場所より上にある空気の重さによる圧力(空気が押す力)です。低い場所では空気は重くのしかかってきます(気圧が高い)。上空にいくにつれ、空気の押す力は弱くなります(気圧が低い)(図2)。お菓子の袋が山の上でパンパンにふくらむのは、このためです。
【図2】
降り注ぐ太陽のエネルギーは空気を通り抜け、まず地表を暖めます。次に暖まった地表が空気を暖めます。暖まった空気は軽くなるので上昇します。標高が高くなると気圧が低くなるので上昇した空気は膨張します。膨張するのに空気自身が持っているエネルギーを使うため、気温が下がります。このような過程で山の上は気温が低く、寒いのです。だいたい100㍍上がるごとに約0・6度下がります。
(日本気象予報士会山梨支部・気象予報士・健康気象アドバイザー・防災士 志村啓子)