2025.06.06
梅雨入りが近づき、蒸し暑さを感じる日が増えてきました。気温も湿度も高まるこの季節、外壁や水まわりの傷みが気になるという声をよく耳にします。
今回は、意外と見落とされがちな「マイホームの修繕費」について考えてみたいと思います。
「家は一生の買い物」といわれますが、住宅ローンを払い終えても安心とは限りません。快適に住み続けるためには、定期的なメンテナンスが欠かせないのです。
特に本県は、盆地特有の気候で、夏は蒸し暑く、冬は乾燥した北風と夜間の放射冷却で冷え込みが厳しくなります。梅雨時は、外壁のひび割れや屋根の劣化による雨漏り、水まわりの結露・カビ、基礎部分の傷みなど、住宅にとっても過酷な時期といえるでしょう。
さらに近年は、建築資材や人件費の高騰により、修繕費も上昇しています。塗料や木材、金属部材などの価格は、アメリカの関税政策(いわゆる「トランプ関税」)など国際的な経済の動きの影響も受けて、じわじわと上がり続けています。「世界の動きが、修繕費にも影響している」という点は、ぜひ知っておきたいところです。
たとえば外壁塗装では、以前は100万円ほどだった工事が、いまでは120万~150万円かかるケースも増えています。屋根の葺き替えなら150万~200万円以上、水まわりの配管工事やシロアリ対策でも、数十万円単位の出費になることが少なくありません。
マンションでは「修繕積立金」が毎月徴収されますが、戸建て住宅では自分で備える必要があります。
そのため、「何年後に、どこを(屋根・外壁・給湯器・防蟻など)どのように修繕するのか? 予算はいくらか?」といった内容を、時系列で整理した「メンテナンス計画」を立てておくことをおすすめします。
目安としては、年間10万~20万円程度を〝家の貯金〟として積み立てておくと安心です。資材価格の上昇に備え、家計とは別に管理し、一部を無理のない範囲で運用するのも一案です。あわせて、自治体の助成金制度なども確認して、上手に活用しましょう。
まずは、自宅の状態を「見て・知る」ことから始めてみてください。外壁のひび割れや色あせ、屋根のズレ、水まわりのにおいやカビなど、気になる箇所があれば早めの点検が大切です。
信頼できる地元の業者や、実績のある施工会社に相談してみるのもよいでしょう。見積もりは複数の業者に依頼し、過剰な営業には慎重に対応しましょう。
「今すぐに困っていないから」と先延ばしにすると、劣化が進み、結果的に費用がかさんでしまうこともあります。とくに雨漏りやシロアリ被害などは、早めの対応が資産価値を守るカギになります。
家も人と同じように、定期的なケアが必要です。これからも安心して住み続けるために、修繕費を〝見える化〟し、計画的に備えていきたいですね。
(FPオフィス ライフエイドファイナンシャルプランナー 三沢恭子)