2025.06.06
6月に入りました。今年、全国で最初に梅雨入りが発表されたのは九州南部の5月16日、次いで奄美の19日、沖縄は22日で3番目でした。沖縄の梅雨入りが九州南部より後になるのは1976年以来49年ぶり、奄美よりも後になるのは2019年以来6年ぶりです。
関東甲信の梅雨入りの平年値は6月7日頃です。今年はどうなるでしょうか(6月3日現在)。
梅雨前線の活動が活発化して大雨になると災害につながる一方、雨が降らないと水不足になり、多方面で影響が出ます。梅雨は「恵みの雨」です。気象学者で気象エッセイストでもあった倉嶋厚さんは、「梅雨前線は『空の水道』、貴重な水をもって来てくれる」と書いています。
雨による災害を減らすためには、雨の今後の見通しを知る必要があります。以前、どこでどのくらい雨が降るのかを5分ごとに1時間先まで予測する「高解像度降水ナウキャスト」を紹介しましたが、「降水短時間予報」というのもあります(図1)。これは15時間先までの1時間ごとの降水域や降水量を、6時間先までは、10分ごとに1㌔四方で、15時間先までは1時間ごとに5㌔四方で予報します。
6時間先までは、解析雨量(図2)のデータを利用して、地形の影響、雨雲の発達や衰弱なども考慮して予測します。予報時間の後半になると降水域などのずれが大きくなるため、数値予報による予測結果も利用します。7時間先以降は数値予報の結果を組み合わせて予測します。
降水短時間予報は気象庁ホームページの「今後の雨」ページで見ることができます。
高解像度降水ナウキャストは短時間の局地的な大雨による被害(都市部の浸水害など)からの安全確保行動に役立てることができます。降水短時間予報は15時間先までの雨の状況を把握することで、早めの避難や災害対策につなげることができます。状況に応じて活用しましょう。また、どちらも予報時間が先になるほど精度が下がるので、最新情報を確認することが大切です。
(日本気象予報士会山梨支部・気象予報士・健康気象アドバイザー・防災士 志村啓子)