《お天気歳時記》午前10時の季節は光の夏

2025.05.02

《お天気歳時記》午前10時の季節は光の夏

5月に入りました。明日から大型連休の後半です。どこかへ出かけようと計画している方、多いかもしれません。新年度が始まって1カ月、連休はゆっくり休むという方もいらっしゃるでしょうか。

「12カ月を一日にたとえると5月は午前10時の季節。日は高くのぼり、明るい。まだ長い午後が残っていて、先に期待が持てる。もし何か起こってもそれを突破できる力と時間がある」と、気象学者の倉嶋厚さんが書いています。

言葉のとおり、太陽高度は一番低い冬至から、一番高い夏至に向かって高くなり、それに伴い、昼の時間(日の出から日の入りまで)は6月下旬の夏至をピークに5月から7月が最も長い時期となります(図1、図2)。

【図1】

【図2】


図3は甲府の全天日射量の月別平均値です。5月が最大です。太陽高度がもっとも高い夏至を中心とする6月、7月が最大となりそうですが、違います。6月、7月は梅雨の時季で晴れる日が少ないため、値が小さくなります。夏の暑さのピークはまだ先ですが、5月は太陽からのエネルギーがもっとも強い「光の夏」です。

【図3】

【図2】


太陽からのエネルギーに関する指標には「UVインデックス」というのもあります。UVインデックスは、地上にふりそそぐ紫外線が人体におよぼす影響の度合いをわかりやすく示すために、紫外線の強さを数値化したものです。UVインデックスのピークは全天日射量のピークよりも遅れて7月から8月に最大となります(図4)。

注目は5月の値、なんと9月とほぼ同じです。9月は夏の暑さが続き、紫外線対策をおこなっている方が多いと思いますが、5月というと「そろそろ始めなければ…」といった感じでしょうか。

紫外線には体内でビタミンDを作るなどの良い面もありますが、やはり日焼けや皮膚がんなど健康被害のリスクを高めるといった影響もあります。早くから対策をとることが重要です。


(日本気象予報士会山梨支部・気象予報士・健康気象アドバイザー・防災士 志村啓子)

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