《教えてFPさん》学生でも払うべき?どうする、二十歳からの国民年金

2025.04.04

《教えてFPさん》学生でも払うべき?どうする、二十歳からの国民年金

新年度が始まり、20歳を迎える学生の皆さんには誕生月に「国民年金加入のお知らせ」や「基礎年金番号通知書」が届きます。「自分にはまだ関係ない」と思って放っておくと大変なことになるかもしれません。どうしたらよいのか、一緒に考えていきましょう。

20歳になると、学生であっても国民年金の「第1号被保険者」となり、月額1万7510円(2025年度)の保険料を納める義務が生じます。年間で約21万円。アルバイトをしていても、この負担は決して小さくありません。

しかし、「お金がないから払えない」と未納のままにしてしまうのは危険です。国民年金は老後のためだけでなく、事故や病気などで障害を負った際に受け取る「障害基礎年金」や、万が一の際に家族を支える「遺族基礎年金」も含まれています。もし未納のままだと、必要なときにこれらの年金を受け取れない可能性があります。

そこで、学生向けの救済措置として「学生納付特例制度」があります。この制度を利用すれば、在学中の保険料の支払いを先送りでき、未納扱いにはなりません。さらに、保険料を納付している場合と同様に、障害基礎年金や遺族基礎年金の受給資格を得られます。

また、先送りした期間の保険料は、10年以内であればさかのぼって納める(追納する)ことも可能です。



申請には、学生本人の所得や在学証明が必要です。対象となる学生の所得は「128万円+扶養親族の数×38万円+社会保険料控除等」で計算した金額以下となります。

例えば、扶養親族がいない場合、給与所得のみなら年収194万円まで申請可能ですが、SNS収入など雑所得がある場合は注意が必要です。

手続きは、住民票のある市区町村の窓口や年金事務所、在学中の学校(代行事務を行っている場合)で行うことができます。マイナンバーカードを利用すれば、マイナポータルから電子申請も可能です。

審査に通ると「承認通知書」が届き、承認期間は年度単位(4月~翌年3月)となります。毎年4月に申請の案内が届くので、忘れずに手続きをしましょう。

もし申請が却下された場合は、保険料を納める必要があります。納付方法には、口座振替やクレジットカード払いのほか、6カ月~2年分をまとめて支払う「前納制度」を利用すると割引が適用され、お得に納めることができます。

もしも、未納のままだと、社会人になって厚生年金に加入したとしても、1年目に障害を負った場合に障害年金を受け取れない可能性があります。年金を受給するためには「加入期間の3分の2以上が納付済み」または「直近1年間に未納がない」ことが条件となるため、未納期間があると支給対象外になってしまうのです。

学生時代に手続きを忘れてしまった場合でも、学生納付特例は2年1カ月前までさかのぼって申請することができます。未納のままにせず、速やかに申請や保険料納付を検討しましょう。

国民年金は、将来の自分を守る大切な制度です。「まだ若いから大丈夫」と軽く考えず、適切な手続きをとることが重要です。いざというときに困らないよう、しっかりと対応していきましょう。


(FPオフィス ライフエイドファイナンシャルプランナー 三沢恭子)

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