《お天気歳時記》重要かつ話題になる山

2025.02.21

《お天気歳時記》重要かつ話題になる山

2月23日は「富士山の日」です(図1)。


1998(平成10)年に山梨県と静岡県で「富士山憲章」が制定されました。これをきっかけに2009(平成21)年に静岡県、2011(平成23)年に山梨県がそれぞれ「富士山の日条例」を制定し、2月23日は富士山の日となりました。全国的な記念日ではないので、基本的には平日でしたが、2020年から2月23日が天皇誕生日となったことから現在は祝日です。

富士山は、気象の分野で重要な場所でした。標高3776メートルの富士山山頂には、かつて気象レーダーがありました。1964(昭和39)年に完成し、翌年から1999(平成11)年に引退するまでの約35年間、日本一高い場所から観測が続けられ、台風監視の砦として大きな役割を果たしました。

1959(昭和34)年9月の伊勢湾台風などの体験から、台風を早くから監視すれば減災につながるかもしれない、日本一高い富士山山頂にレーダー設置すればレーダーの探知範囲が広く、それが可能になるかもしれないという思いがあったといわれています。レーダーは現在、富士吉田市の「富士山レーダードーム館」に展示されています(図2)。


富士山の初冠雪は毎年ニュースになります。この話題で季節を感じる方も多いでしょう。昨年は11月7日で、1894(明治27)年に統計を取り始めてから最も遅い記録でした。

富士山の初冠雪は「その年の日平均気温の最高値が出た以降に麓の気象台から山頂付近が積雪などで白く見えた最初の日」です。「目視で確認」が条件のため、雲などで気象台から確認できないと初冠雪にはなりません。初冠雪への道はなかなか大変です。

2021(令和3)年には「初冠雪」が9月7日から9月26日に訂正されるという珍しいことがありました。日平均気温の最高値を8月4日の9・2度と位置付けていたものの、9月20日に10・3度が観測されて最高値が更新されたためでした。

(日本気象予報士会山梨支部・気象予報士・健康気象アドバイザー・防災士 志村啓子)

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