《お天気歳時記》寒九の〇〇

2025.01.10

《お天気歳時記》寒九の〇〇

2025(令和7)年となりました。今年もよろしくお願いします。

1月1日午前7時15分頃、甲府城の天守台から初日の出を見ることができました(図1)。

【図1】


国立天文台のホームページによると1日の甲府の日の出は同6時55分、これは標高0メートルで算出しているそうです。甲府城のある甲府盆地は周囲を山々に囲まれているため、少し遅れます。同7時の甲府の気温は0.7度、この日の最低気温の平年はマイナス1.8度なので、平年より少し暖かい穏やかな年の始まりでした。

5日からは二十四節気の「小寒」に入り、「寒」の季節となりました。20日の大寒を経て2月2日の節分までが「寒の内」で、一年でもっとも寒い時期です。小寒と大寒のように、二十四節気には「小」と「大」が対になっているものがあります。夏の小暑と大暑、冬の小雪と大雪、そして小寒と大寒。「小」には「いよいよ」という意味があるそうです。小暑は「いよいよ本格的に暑くなる」、小雪は「いよいよ雪が降り出す」小寒は「いよいよ寒さが厳しくなる」となります。そうはいってもすでに冬の真っただ中で、寒さもかなり厳しいです。寒さへの対策は万全にしましょう。

この時期の冷たい水は「寒の水」と呼ばれます。雑菌が繁殖しにくく、水質が良いため、昔から日本酒、醤油、味噌などの「寒仕込み」に利用されてきました。とくに寒の入りから9日目の水は「寒九の水」と呼ばれ、飲めば薬になる、風邪予防になるといわれているそうです。今年の寒九は13日です。

水のほかに、昔の人々は寒に入って9日目に栄養豊富なものを食べて厳しい寒さを乗りきろうとしていました。そのひとつが「寒九のとろろ」です。とろろ芋(やまいも)にはスタミナ強化に効果的なビタミンB1、整腸作用のある食物繊維、高血圧などの生活習慣病予防に役立つカリウムなどが含まれています。また、無病息災の願掛けの意味もあるそうです(図2)。

【図2】


(日本気象予報士会山梨支部・気象予報士・健康気象アドバイザー・防災士 志村啓子)

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