《お天気歳時記》「ん」からはじめる

2024.12.19

《お天気歳時記》「ん」からはじめる

12月21日は二十四節気の「冬至」、一年でも最も昼間の時間が短い日です。夏至とくらべると甲府では約5時間短くなります(図1)。

【図1】


昼間が短いので「日の入りは早く、日の出は遅いのでは?」と思いますが、違います。国立天文台のホームページによると、甲府の場合、日の入りが最も早いのは12月2日から9日の午後4時32分、日の出が最も遅いのは1月3日から11日の午前6時56分。日の入りが早いのは冬至より前、日の出が遅いのは冬至より後でした。
これは、地球の地軸が公転面(太陽のまわりを回る面)に対して傾いていること、公転軌道(太陽のまわりを回る軌道)が楕円ということが理由です。
冬至は「一陽来復」ともいいます。短くなっていた昼間の時間が、この日から伸び始めるからです。これを太陽の力が復活していく「はじまりの日」ととらえて世界各地で冬至を祭る風習があります。
冬至の七十二候は初候「乃東生(なつかれくさしょうず)」、次候「麋 角解(さわしかのつのおつる)」、末候「雪下出麦(ゆきわりてむぎのびる)」です(図2)。初候、末候は芽吹き、次候は新しい角の準備といえます。七十二候からも、はじまりを感じます。


【図2】


冬至にはゆず湯に入る、カボチャを食べるといった風習があります。カボチャはビタミンやカロテンなど栄養豊富です。旬は夏ですが、長期保存が可能なので保存しておき、緑黄色野菜の少ない冬に食べるようになったといわれています。
冬至に食べると良いといわれる食材はほかにもあります(図3)。「ん」が二つ付く食材で、「運気が上がる」「運を呼び込む」といわれ、健康と開運を祈る意味が込められています。私は今回初めて知ったのですが、これらを「冬至の七種」と呼ぶそうです。


【図3】

「ん」を食べて年末を乗り切り、穏やかな新年をお迎えください。


(日本気象予報士会山梨支部・気象予報士・健康気象アドバイザー・防災士 志村啓子)

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