2024.11.29
来年春の選抜大会出場校選考資料となる秋季地区大会が全国10地区で行われ、東海大札幌(北海道)、聖光学院(東北)、横浜(関東)、二松学舎大附(東京)、大垣日大(東海)、敦賀気比(北信越)、東洋大姫路(近畿)、広島商(中国)、明徳義塾(四国)、沖縄尚学(九州)が優勝。選抜大会出場を決定的にするとともに、第55回記念明治神宮野球大会へ駒を進めました。
私は関東大会の中継を担当し、横浜市に滞在していました。今回は中継の裏側を含め関東大会を振り返ります。一言でいえば、「想定外の事態が続出した大会」でした。
中継は関東地区ケーブルテレビ23社の共同制作で、一部を除きメイン会場のサーティーフォー保土ケ谷球場での開会式から決勝戦まで、約220万世帯に向けてリアルタイムでお伝えしました。神奈川での開催は2017年以来。毎年、関東大会は注目度が高いのですが、出場校は甲子園常連校、古豪、新鋭と多彩な上、選手の出身地も幅広く、全国各地から保護者やファンが訪れました。中でも3日目に登場した横浜(神奈川1位)の試合では前夜から入場券売場に列が。夏の大会を含め「神奈川で一番お客さんが入る」といわれる横浜の人気は凄まじいものがありました。
大会2日目の山梨学院(山梨1位)と東海大相模(神奈川2位)戦も、昨年の選抜優勝校と地元校の試合とあって大勢の観客が詰めかけ、熱気が渦巻きました。試合は延長タイブレークの末にサヨナラで勝利した山梨学院が8強入り。実況を担当していましたが、解説の安倍昌彦さん(早稲田大OB)は洞察力が鋭く、あらゆる場面を深掘りしてもらいました。また、中継は1球場のみだったため、帝京三(山梨2位)が東農大二(群馬2位)に敗れた試合の中継はかないませんでした。
大会4日目はサーティーフォー保土ケ谷球場で、準々決勝残り2試合の山梨学院対千葉黎明、佐野日大対健大高崎を消化し、ベスト4が出そろう日でした。しかし、悪天候が予想されるため、佐野日大対健大高崎を川崎市の等々力球場に移して同時刻に実施することに。「どちらも中継してほしい」という神奈川県高野連の意向に応え、佐野日大対健大高崎の試合は、山梨学院対千葉黎明の生中継終了後、収録映像を見ながら解説、実況を付けるというぶっつけ本番の録画放送となりました。難しい状況での放送でしたが、中継スタッフと関係者の熱意により、生中継と同じような雰囲気で、何とか成し遂げることができました。
さらに今年の秋季関東大会は、準決勝以降の球場が未定の中で始まりました。NPB日本シリーズに、地元の横浜DeNAベイスターズが進出し、日程がかぶってしまったのです。
公表されていませんが、関東大会の準決勝以降の会場は、横浜スタジアムで調整されていました。それが、日本シリーズが再び横浜スタジアムで行われることが確定した時点で、関東大会の準決勝以降はそのまま保土ケ谷で開催される運びとなったのです。
決勝戦は横浜対健大高崎の強豪対決。予想通りの接戦で延長タイブレークの末、横浜がサヨナラ優勝を果たし、地元で関東の頂点に立ちました。解説を務めていただきました桐蔭学園監督で夏の甲子園初出場初優勝を経験された木本芳雄さんならではの視点で、たっぷりとお話しいただき、大会の中継が終了しました。振り返れば、今年はプロ野球、社会人の都市対抗野球(横浜市・三菱重工East)、高校野球でいずれも横浜が熱かったです。
選抜出場枠は関東・東京地区で六つ。関東地区ベスト4の横浜、健大高崎、浦和実、千葉黎明。東京地区は優勝・二松学舎大附、準優勝・早稲田実。以上の高校が選考されるのか、それとも…。来年1月24日に出場校が決まります。
(フリーアナウンサー 福士康啓)