2024.10.18
左から山本孝夫さん、冨山美由紀代表、小野武法さん
超高齢化社会と言われて久しく、元気な高齢者も多い昨今。90歳を超えても新しいことにチャレンジするお年寄りがいる。甲斐市の音楽教室ミュージック・コア・ミユキ(冨山美由紀代表)でピアノを学ぶ山本孝夫さん(90)と小野武法さん(93)だ。近くリサイタルの舞台に立つ2人に話を聞いた。
山本さんは1934(昭和9)年生まれの90歳。東京の一部上場企業で人事部長などを歴任した後、55歳で山梨に帰郷。その後は現在までマンション経営をしている。
ピアノを習い始めたのは2012年。きっかけは「偶然目にした新聞広告だった」という。小学校の音楽教師をしていた母親の影響で子供の頃から音楽に親しんだが、受験勉強をきっかけに長らくピアノから離れていた。
しかし、忙しい日々を過ごしている時でも心の中には「またピアノを演奏したい」という気持ちがあったそう。現在、月に2、3回のペースで通っている。自宅での練習も欠かさず、時間があればピアノに向かっているという。
子どもたちは東京で生活しており、現在一人暮らしだが、「ピアノがあると生活に彩りができ、寂しくない」と話す。
山本さんは90歳になったことをきっかけに、友達や家族、親しい人を招いて「90歳記念リサイタル」を11月に開催する。「すごいプレッシャーだが、練習にも力が入っている。心に響くメロディーを弾きたい」と意気込む。
一方、小野さんは1931(同6)年生まれの93歳。若い頃は郵便局に勤め、保険や貯金業務を担当していた。現在は山本さんと同じくマンションを経営している。
長年カラオケに慣れ親しんだ世代で、以前から音楽に興味があったという小野さん。90歳になったのを機に一念発起して、3年前から同教室に通い始めた。「認知症予防にもなるし、自分のイメージにぴったり合い気に入った」と笑顔を見せる。
小野さんは月3回の教室以外にも、毎朝5時から1時間程の練習を欠かさず行っているそうだ。
「ピアノを学ぶことで、自分の生活が豊かになる。油絵もやっているが、芸術に親しむことで健康で元気に過ごせていると思う」と若さの秘訣を語った。
今後の目標については、「人からのリクエストに応えて、即興で弾けるようになりたい」。また、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の経営を始めたいという夢もあり、「そこにピアノを置いて利用者に曲を弾いてあげたい」とも。
そんな2人が出演する、「おとうさんたちのピアノリサイタル」が27日に同教室で開催される。冨山代表は2人について、「教室や発表会に必ず出席するので、確実に上達している。本番までは体調管理が大事。病気やケガをしないようにしてほしい」と話している。