2025.10.24
甲府では今年、猛暑日(最高気温が35度以上)が59日、真夏日(同30度以上)が95日と過去最多(10月20日時点)を記録するなど「史上最も暑い夏」を経て10月も下旬となりました。朝晩は肌寒い日もあり、昼間との気温差や体感差が大きく、服装選びや体調管理に注意が必要な時季です。
7日に北海道の稚内地方気象台から利尻山の初冠雪が発表されました。今季全国で最も早い初冠雪の便りです。稚内では20日に初雪も観測されました。少しずつ、確実に季節は進んでいます。
初冠雪は「8月1日以降に麓の気象台から山が積雪などで覆われて白く見える状態を目視で確認できた最初の日」をいいます。標高の高い富士山では「その年の日平均気温の最高値が出た以降に麓の気象台から目視で確認できた最初の日」です。
初冠雪や初雪の発表、ニュースで「今朝は冷え込み、今シーズン初めて最低気温が10度未満になった」など、気象の「初もの」の話題を聞くと季節を感じるという方は多いでしょう。今年はその発表に変化がありました。
気象庁は今冬から初霜、初氷の目視による観測を終了し、発表を行いません。初冠雪と初雪の観測は続けます。

気象観測が始まった当時は、観測地点が少なく、初霜や初氷の観測は、季節の遅れ進みや気候の変化などを把握する大切な情報でした。しかし、近年は観測技術が進歩し、アメダス(地域気象観測システム)や気象レーダーなどを活用することで、「推計気象分布」などの気象情報を提供できるようになったのが理由とのことです。業務効率化などもあるのかもしれません。
2021(令和3)年には植物34種目、動物23種目が対象だった生物気象観測が、サクラの開花など植物6種目に減少しました。こちらは、環境変化などで観測対象の確保が難しくなったことが大きいようですが、季節の風物詩が減っていくのは少しさみしく感じます。
表は甲府の初霜、初氷の平年値などです。今年はいつ頃でしょうか。自分で調べてみるのも面白いかもしれません。
(日本気象予報士会山梨支部・気象予報士・健康気象アドバイザー・防災士 志村啓子)