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観光客を引き付ける仕掛け
かざり
清里独自の「商品」と「物語性」
萌木の村
舩木 上次 社長
舩木 上次 社長
「山梨新報」2010年7月16日掲載

 夏はTシャツがトレードマーク。スーツを着るのは年に数回。およそ世間の「社長」のイメージに似つかわしくない。観光施設「萌木の村」(北杜市高根町清里)を経営する舩木上次氏(61)。最近では地ビールならぬ〝地発泡酒〟も発売した。
 この発泡酒は「白樺BEAT生」(330㍉㍑入り、480円)。シラカバの樹液は発芽前の3月下旬から4月上旬までの約20日間、ごく限られた時期にしか取れない成分を使っていることが売りだ。当初はシラカバの木が水を吸い上げる時期さえ分からず、なかなか樹液が採取できずに試行錯誤。開発までは3年間かかった。
 シラカバの木はマザーツリーと呼ばれ、その樹液は甘味成分「キシリトール」を含み、「すっきりした甘さ」が特徴という。原料はこの樹液とミネラル水を混ぜたものに、麦芽、ホップで、今年は8000本を限定販売。6月中旬から発売したところ、8月末には完売が見込まれ「売れ行きは上々」という。
 大学を中退し、1971年に清里に喫茶店「ロック」を開店。77年に萌木の村を設立。ホテルやオルゴール博物館を開館、昨年20周年を迎えたクラシックバレエの野外公演「清里フィールドバレエ」の開催など独自の取り組みが評価され、03年には国の「観光カリスマ」にも選ばれた。
 「八ケ岳高原を訪れた人たちに『あっ』と言わせる仕掛けを作りたい」と常々考えている。今回の発泡酒もそんな思いの延長線上にある。切り口は清里にしかない「もの」や「こと」。「『もの』に物語性(こと)を加えれば商品としての付加価値が上がる。売り出せば地域の活性化につながる」が持論。例えばフィールドバレエを題材にした花やケーキ、印伝のバッグなどだ。一部の業者に商品化を呼び掛けているという。
 それほどまでに思い入れの強いフィールドバレエだが事業としては「過去20回の公演で赤字が1千万円を下回ったのはわずか1回だけ」という採算の合わないイベントだが、毎年、身障者や政財界関係者などさまざま人が訪れ、清里だけで期間中、約6000人が宿泊する。
 「清らかな感動とともに、私たちがやってきたことが人の心に残る。それは金に換算できない財産。その意味では社長業失格かもしれない」。もっとも、「メディアが毎年、大きく取り上げてくれる。年間を通じた広告宣伝費と考えれば十分、ペイできる」と、事業家として〝したたか〟な面ものぞかせた。

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