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無料・低額診療スタート
かざり
生活困窮者の〝駆け込み寺〟に
山梨勤労者医療協会
上所 洋 理事長
上所洋理事長
「山梨新報」2010年8月27日掲載

 山梨勤労者医療協会(勤医協、甲府市丸の内2丁目)が運営する甲府共立など10病院・診療所で、無保険者や生活保護に準じる患者を対象に、医療費を減免する「無料・低額診療事業」が今月から始まった。十分な医療を受けられない「生活困窮者の救済」が狙い。上所(かみじょ)洋理事長(62)に聞いた。

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 勤医協によると、ホームレスなどの無保険者や、1カ月の収入が生活保護基準の1・2倍以下の場合、医療費を全額免除とし、1・4倍以下の場合、医療費の半額を免除する。期間は無保険者が原則1カ月で、最長3カ月。健康保険加入者の減免は6カ月以内。
 勤医協は不況などで医療費を払えないため治療を控えたり、無保険で受診できない生活困窮者の事例が増加していることを受け、約2年前から具体的な検討に入った。現行の保険制度では医療費の自己負担分を減免することはできないが、今回導入した事業は社会福祉法に基づく制度で、「保健加入者だけでなく、無保険者の外国人やホームレスも救済が可能となる。医療費を心配せずに相談に来て、と言えるようになった」と強調する。
 一方で、無料診療や低額診療の減免分について公費補助はなく、全額病院側が負担する。初年度の負担額は1000万円程度が見込まれているが「病院経営に影響はない」としている。計画では同事業の利用者と、医療費が全額公費で賄われる生活保護受給者とを合わせ、全患者数(昨年度実績約61万7000人)の「10%超」と想定。生活保護の受給など公的支援につなげることで病院側の負担軽減を図り、最終的に無料・低額診療の対象者を2%程度と見込んでいる。
 これまで4人が同事業の適用を受けたほか、2世帯が生活保護を申請した。問い合わせも30件程度あったという。
 「この事業の存在さえ知る手だてがない人も少なくない」とみて、民生委員らが所属する社会福祉協議会や市町村の窓口にパンフレットを配布。今後、教育委員会や学校現場にも事業の周知を図る予定だ。
 同理事長は兵庫県出身で1973年、研修医として甲府共立病院に赴任。「医師10年目で最も脂が乗っていた時期」の83年、勤医協はレジャー・不動産会社への出資金が焦げ付き、当時、県内では過去最高となる230億円の負債を抱え倒産。理事として再建にかかわった。「勤医協は『命の平等』を掲げ発足し、今回の事業もその延長線上にある。最後の駆け込み寺としての役割を果たしたい」と話している。

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