大学の「知」を地域へ
「外部資金獲得に率先」
山梨県立大学
伊藤 洋 学長
「山梨新報」2010年5月7日掲載
県立大が公立大法人に移行して1カ月。あす8日には同大飯田キャンパスで「地域における大学の力~県民の期待にどう応えるか~」をテーマに、伊藤洋学長と横内正明知事との記念フォーラムも開催される。少子化に伴い、大学の存在意義が問われる中、今後の取り組みや課題などについて法人理事長を兼務する伊藤洋学長(70)に聞いた。
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法人化とは表向き「魅力ある大学に向け、より自立的運営が可能になること」(県)だが、要は県組織からと、財務面からの二つの「独立」を指す。
県組織から独立することで一層、力を入れているのが「地域貢献」だ。「大学として存立していくには納税者の県民に存在価値が認められることが大前提」(同学長)だからだ。同大はこれまでも甲府商工会議所や県立科学館、忍野村、4月には甲府市と包括的提携協定を結び、商工業・観光などの分野で連携を図ってきたが、「さらにウイングを広げて新たな産業を、どう根付かせていくかなど設置者の県に向かって産業政策などを積極的に提言し、山梨の基盤づくりに向けた『百年の大計』をつくる役割を担う」ことを目標に掲げる。そのために、同大を中心に、県の試験研究機関や文化施設と連携し、総合研究所としてのシンクタンク機能を果たしたい考えだ。
また、社会人教育では「今年度から希望する地域に直接、講師が出向く「出前講座」を開催する予定だ。テーマについても「従来の『武田三代記』的なテーマではなく、自殺やドメスティックバイオレンス、企業撤退など現在、山梨が抱える問題点をピックアップする」という。同学長は「個人的には『地域貢献』を単に言葉だけでなく、アカデミズムと距離がある過疎地域で開催することで、住んでみたいと思わせる。そんな新たな『公共』を大学が担いたい」と強調する。
一方、財務面では大学の運営費は県から6年間で約55億7000万円(今年度約9億5000万円)が交付されるが、予算執行の裁量権が増す代わりに、来年度以降、毎年1000万円程度が削減される。大学運営はこの運営交付金以外に、授業料、外部資金など自主財源でやりくりしなければならない。しかも特許など、企業との連携で資金調達が見込める工学部や医学部を持たないため「いかに自主財源を獲得するかは大きな課題」と位置付ける。
外部資金の調達に向けては在宅や周産期医療など専門性の高い看護師を養成するために、整備を進めている実践指導センターの受講料や、これまで30%しかなかった文科省への科学研究資金の申請を100%にするほか、県から依頼を受けて実施している公開講座を市町村にまで広げる。
同学長は「外部資金獲得には、学長が率先して〝営業活動〟して大学の体力をつけたい。これまで日本の大学の欠点だった、持っている知識を現場に適用できる能力が試されている。大学の生き残りが決まる、まさに正念場。確実に成果を上げていきたい」と話している。
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