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山梨県内のニュースを独自の視点で解説。
2010.8.13 
27分の1
 行政として悩ましい選択だ。甲斐市である。子宮頸がんの予防ワクチン接種をめぐり、甲斐市は県下27市町村で唯一、利用者の自己負担を求める方針を打ち出した。「なぜわが市だけ?」。11日の市議会全員協議会に諮ったが、こうした反発の声も起こり、最終決着は25日の臨時市議会の場に持ち越された。
 子宮頸がんの最大の特徴は予防可能ながんであること。だが接種費用は3回合計約5万円と高額なため、普及を妨げる最大のネックになっている。国も予防接種法に基く公費助成に向け来年度概算要求に盛り込む意向を見せているが、現段階の位置付けはあくまで細菌性髄膜炎のhib(ヒブ)ワクチンなどと同様、利用者負担が原則である「任意接種」にとどまっている。だが腰の重い国に比べ、小回りの利く一部市町村が積極的に全額助成制度を導入した。一定の財政負担は伴うものの、緊縮財政下、箱物などで実績をアピールしにくい環境にある行政、首長、議会にとって「がん撲滅」という明確な実績を積み上げられる魅力や、内外に〝住みよいまち〟をPRできるメリットがある。実は県も甲府市などと連携し都道府県レベルでは全国に先駆けて、6月定例県議会で小6、中3の女子を対象に1人1万5000円を上限として市町村への助成を決定した。とかく横並び意識の強い本県が「先発県」となること自体極めて稀。大いにアピールしようとテレビCMまで制作する張り切りようだ。一部県議は「お手軽な実績作り」と皮肉るが、ともあれ、これを受けて27市町村中、甲斐市以外の26市町村は足並みを揃え、6月議会(大月は7月臨時議会)で早々と全額助成を決め、利用者負担ゼロを打ち出した。なかには小6、中3の2学年に止まらず、小6から中3のすべての学年を対象(道志、丹波山、小菅3村)としたり、中学卒業以上の女性(富士川町)と間口を広げたところもあった。
 さて、甲斐市。全員協議会で示された執行部案は市が費用の3分の2を助成し、3分の1を利用者負担とするものだった。同時に子宮頸がんだけでなく同じ「任意接種」であるhibワクチンと、7価肺炎球菌ワクチンも市が同率を助成。生活保護世帯など住民税非課税世帯は全額助成とした。あえて子宮頸がんの全額助成を見送った理由を保坂市長は「市民の健康を守るという点では子宮頸がんだけでなく(任意接種である)細菌性髄膜炎、肺炎球菌も同じ。市民の命に変わりない。全国市長会でも(3種のワクチンへの助成を)国に求めているところだ。市も財政的に厳しいが、住民福祉という観点から助成を決断した。ただあくまで法律で定められていない任意接種であり、利用者の一部負担は妥当」などと話している。市議のなかには「県下で甲斐市だけ(子宮頸がんワクチンが)利用者負担では市民が納得しない」など反発もあり、臨時市議会の行方は依然、流動的。ただ利用者の一部負担は伴うものの「任意接種」3種すべてを助成するとした甲斐市の方針は、乗り遅れまいと一斉に子宮頸がんワクチンの全額助成に走った県内自治体に、医療行政の在り方という点で、一石を投じたのかも知れない。

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