山梨県内のニュースを独自の視点で解説。
2010.7.16
自滅
自民党の戦略はなかなかだった。年齢、経歴など輿石氏と対照的な31歳女性候補を擁立。選対本部長には県教育委員長時代、山教組の資金集め問題を「生活病のようなもの」と厳しく批判した内藤いづみ氏を口説き落とした。さらに下野によって業界・団体離れが進むなか、唯一残された同党の財産である地域支部の整備に着手。先の知事選などで機能停止に陥っていた支部立て直しに本腰を入れた。選挙対策でも争点を教育問題に特化、徹底した日教組、山教組批判を展開した。県教委に教職員の政治活動に対する申し入れをするなど揺さぶりをかけ続けた。無論、不安要因がなかったわけではない。一例が県議会の一本化騒動をめぐるあつれきや、資金不足などで県議団の活動に濃淡が顕著だったこと、さらに上意下達と言われる公明票が推薦を見送ったことで、選挙区票が100%期待できなくなったこともあった。それでも輿石氏を追い詰めることができたのは、候補決定後、半年にわたるこうした周到な準備があったからだが、それ以上に民主党と輿石東氏の「自滅」と指摘する声は強い。
輿石陣営にとって直前に飛び出した消費税増税方針がやはり最大の痛手となったが、もう一つ、小沢一郎前幹事長の陰が払拭できなかったことがある。〝小鳩心中〟によって内閣支持率がV時回復したことに象徴されるように、「政治とカネ」問題ですっかり悪役となった小沢色の排除こそ必要だったのに、陣営の〝慢心〟か公示日の小沢氏来県など最後まで小沢氏の「側近中の側近」というイメージを振り払えなかった。選対本部への訪問は中止させたが、結果的にその認識が希薄だったというほかない。もちろん、74歳という年齢が無条件で有権者離れを引き起こしたことも事実だ。これらの要素が、無党派層を自民候補に向かわせた。無党派層が多く革新系が強いと言われる県都甲府で「3万9千票対3万8千票」と五分の戦いをしているようでは苦戦は当然のことだ。辛くも逃げ切れた原動力は危機感を全面に押し出した教員OBらの組織力があったからにほかならない。最終盤の予想だにしなかった自民の猛追は、こんな無党派層が引き起こした嵐だった。
2010年7月9日付「始動」
2010年7月2日付「不偏不党」
2010年6月25日付「県庁不信」
2010年6月18日付「自民の血」
2010年6月11日付「二大政党制」
2010年6月4日付「利害」
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