外観

 甲州増穂美術庵 

 作家・石原慎太郎はこう指摘する。 「それらの画面にはシュールレアリスティックなモダーンなイメイジに重ねて、 作者が生まれた山梨の土俗的な雰囲気が滲み出ている」(案内パンフレットから)。 トロンプ・ルイユ(視覚のトリック)と超現実主義的技法を駆使した南巨摩郡増穂町出身の画家・石井精一の代表作 「畳」 シリーズを指す。
 同町舂米にある 「甲州増穂美術庵」 は、 同シリーズのほか 「階段」 シリーズなど100号前後の大作約20点をはじめ、 松本清張集(河出書房新社)の表紙絵や同町出身の棋士・米長邦雄氏像などポスター、 スケッチあわせて60点以上所蔵する。 「地元の文化を大切にしたい」 と同美術庵を主宰する深沢節子さんがおよそ10年間にわたって収集。 平成9年4月、 同コレクションを展示するため美術庵を開設した。
 昭和62年、 50歳の若さで死去した石井精一は、 手法として西洋的なシュールレアリスムを標ぼうしながら、 テーマに 「畳」 という極めて日本的な叙情性を融合することで独自の“石井ワールド”を築き上げた。
  「畳の記憶 紙風船」 などに登場する着物姿の少女は実の娘。 その無垢な表情と、 精密な描写の畳との組合せが、 冒頭の石原のいう 「土俗的な雰囲気」 を醸(かも)し出している。
 また同美術庵は平成9年3月に他界した画家の池田満寿夫のコレクションでも知られる。油彩、 水彩、 版画など約90点を所有。 池田は増穂町平林に 「満寿夫八方窯」 も造り、 陶芸活動も活発に展開していた。
 コレクションのなかでも23歳の時の油彩 「古代」 は 「青年時代の傑作の一つ」 (深沢さん)といわれる。 額も手作り。 水彩 「悲哀」 「さざ波に浮かぶ」 の2点も池田初期の作品。 昭和41年、 ヴェネツィア・ビエンナーレ展版画部門大賞を獲得した 「ヴォーグから来た女」 と 「SOMETHING2」 のほか、 「富士百景」 シリーズの陶板画の44点などを展示している。
 同美術庵は甲府盆地が見渡せる高台にあり、 晴れていれば前庭のベンチから、 富士山や茅ケ岳まで望める。

展示風景

入館料 1000円(観賞のみ)
2000円(菓子付き、抹茶、抹茶茶わんお持ち帰り)
開館時間 午前10時〜午後5時
休館日 季節により変更(要予約)
駐車場 20台
交通機関 JR身延線市川大門駅から車で7分
住所
電話番号
山梨県南巨摩郡増穂町舂米672
0556(22)4488

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