国道141号線沿い、富士山と八ヶ岳を望む清里に「仏画を通して仏や祈りを日常生活の中で身近に感じてもらいたい」という仏画師・安達原 玄(あだちはらげん)館長の思いで1995年に開館した日本唯一の仏画美術館。入口には、2mの「仏足石」 が 「富士山に向かって、お釈迦様が世界の平和を声高らかに呼びかけている」というイメ−ジで置かれている。
館内には、優しくもの静かで幻想的な音楽が流れ、 季節ごとの野の花が飾られている。照明や置物などにも細かな気配りがされ、落ち着いた雰囲気の中で仏画を鑑賞できる。
特に目を引くのは、10年かけて紺紙金泥で描いた胎蔵(たいぞう)界と金剛(こんごう)界の曼荼羅(まんだら)図と、華厳(けごん)経の善財童子、求道の図を彩色で表現した天井画。2階展示室天井に配置してあるが、その大きさや色彩には目を見張るものがある。
また、2005年愛知万博の中央アジア共同館(タジキスタン)で公開された、アジナテパ仏跡の大涅槃仏(身の丈13m)も展示。7世紀に作られた涅槃仏で「人生は甘美であった」釈迦最後の微笑みをたたえている。1,300年の時を越え見るその姿は圧巻だ。
ほかに、五大尊や釈迦仏画、大乗仏教で説かれたさまざまな菩薩(ぼさつ)、明王(みょうおう)などの尊像画などが展示されていて、一つ一つの作品の迫力には驚かされる。1、2階合わせて、平和の祈りをこめて描いた作品約50点が並ぶ。
そのほかに、それぞれの国で生きる人たちの喜びや悲しみなどを表現した面や、風土にちなんだ仏像など、仏の世界に通じる置物が100点以上も展示されている。
年に1回、館長が主宰する写仏教室 「祈り写仏の会」 や、会員が描いた仏画を展示する企画展も実施している。
|