甲斐百八霊場を語る
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 小笠原 柳本さん、 どうして山梨にはこんなに多くのいいお寺や仏像があるのでしょうか。
 柳本 いくつかの理由がありますが、 まず甲斐源氏が文化的に非常に高かったということでしょう。 それと鎌倉政権に対して、 甲斐源氏は力があるにもかかわらず意図がないということを示すために寺とか、 仏像をたくさん造ったのではないかと思います。

法善寺の不動明王像 柳本伊左雄氏
第88番 法善寺 柳本さんの手による不動明王像  柳本伊左雄さん
    (身延山大学教授、仏師)

 阿部 いくつかの仏像を紹介してください。
 柳本 願成寺 (韮崎市) の阿弥陀三尊は造形的に見て肩の量感が非常にすばらしいものです。 大聖寺 (中富町) の不動明王は京都の清涼殿にあったものですが、 由緒正しい、 形の整ったすばらしいものです。 遠妙寺 (石和町) の仁王像は時代はだいぶ新しくなるのですが、 文化・文政という特異な時代を生き残った、 これも形の非常に美しい、 力強いものです。 海岸寺 (須玉町) は石仏は柔和なお顔をしていまして、 こういうお顔に接すれば心が安らぐと思います。 山梨というところは石仏の宝庫でして、 すばらしい、 いい石仏が多いんです。

海岸寺の石仏
第71番 海岸寺の石仏

 また、 ここ放光寺の不動・愛染・大日如来や、 勝沼町・大善寺の仏像群とか、 変わったところでは豊富村・大福寺の仏像などは雑密 (ぞうみつ) といいまして、 いつの時代に造られたかわからないような仏像があるなど、 あるいはそこの前立ちに京都から持ってきたようなものが何気なく置いてあるとか、 びっくりするようなものがあります。

放光寺の愛染明王像 竜華院の弥勒如来座像
第8番 放光寺の愛染明王像 第46番 龍華院の弥勒如来座像

 阿部 花の美しいお寺もたくさんありますが、 その中のいくつかをご紹介したいと思います。
 武川村・実相寺の神代桜は千年の時を刻んでいます。 周囲に咲く黄スイセンの群落とのとりあわせは花の寺というにふさわしいものです。 塩山市の慈雲寺は別名 「イトザクラ寺」 ともいわれています。 花の咲く季節になると、 大勢のカメラマンが花を目当てにやってきます。
 5月下旬、 富士吉田市の西方寺では境内にあるたくさんのツツジがいっせいに咲き誇ります。 新緑の頃なのでとてもすてきです。 増穂町の妙法寺は 「アジサイ寺」 ともいわれます。 1万本以上のアジサイが咲き乱れる6月下旬には 「あじさい祭り」 が開かれます。

神代桜 妙法寺
第75番 実相寺の神代桜第91番 妙法寺のアジサイ

 都留市の宝鏡寺の裏山は5月になると黄色いヤマブキソウが可憐 (れん) な花を咲かせます。 その群落の大きさは関東としてはこの寺だけといいます。
 小笠原 こうしてみますとやはり感動的ですね。
   清雲 山梨の霊場は非常に自然に恵まれていて、 お寺と自然が調和しているのがすばらしいところです。 また、 先ほど柳本先生がおっしゃったように文化財が多く、 そういう面からも歴史、 文化を知るのにとてもよい環境だと思います。
 小笠原 非常にレベルの高いものがそろっているわけですね。
 清雲 文化財ひとつとっても近県の神奈川、 栃木、 長野などに次いで山梨は文化財の宝庫といわれています。 その中にすばらしい仏像などがたくさんある、 ということだと思います。

吉祥天座像
第40番 福光園寺の吉祥天座像
霊場巡りへの誘い



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