
小笠原 私どもは今日、 塩山市の放光寺におじゃましております。
阿部 今日は甲斐百八霊場に選らばれている山梨の名刹のいくつかを紹介しながら、 霊場巡りの楽しさなどについてのお話をうかがいます。
小笠原 清雲さん、ここ放光寺は山梨を代表する歴史の古い名刹ですが。
清雲 今から816年前、 平安時代の末の元暦元年に甲斐源氏のなかの安田義定という、 その当時の遠江の国主の手によって建立されたものです。
小笠原 このお寺は、 四季折々、 いろいろな花が咲きますね。
清雲 早春のツバキから始まってウメ、 サクラ、 モモ、 ボタン、 ツツジ、 夏のサルスベリからキンモクセイ、サザンカなど年間を通して楽しめるように心がけています。
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| 第8番放光寺 本堂前の梅 |
小笠原 そんな花を目当てに訪れる人が絶えないようですね。 いま、若い女性の間で霊場巡り静かなブームだと聞きます。 霊場とはどういうところなのでしょうか。
清雲 霊場とはやさしく言いますと神仏をお祀 (まつ) りしてあるところで、 霊験あらたかなところということになります。
阿部 甲斐百八霊場はテレビ山梨が開局10周年のときに選んだもので、 この選定には清雲さんにも委員としてご参加いただきました。
清雲 その時は、 江戸時代からあった甲州八十八ヵ所、 それと甲斐国三十三番の霊場を含めて、 県内の、 いろいろな宗派を網羅した上で、 1番の善光寺から108番の身延山までの百八霊場になったのです。 いろいろなお寺があるのでかなり苦労して選定しました。
小笠原 三神さん、 古い歴史や興味深いお寺があると思うんですが。
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| 三神 弘さん (作 家) | 第4番 永昌院 鐘楼 |
三神 山梨県の地図を開いてみると、 たくさんの道路が迷路のように入り組んで走っています。 これは現代人の複雑な表情のようにも見えます。 ところが地図の中には隠されたように昔ながらの霊場への道があるんです。 この道は仏様を訪ねる道なのですが、 また地域の歴史や文化を訪ねる道でもあり、 季節の花やお祭りを訪ねる道でもあるんです。 さらには思いがけない出会いの道でもあります。 ドキドキするような、 そんな霊場巡りでありたいですね。 きっと道の向こうになにか見えてくるものがあると思います。
阿部 印象に残ったいくつかのお寺をご紹介いただきたいのですが。
三神 たくさんあるのですが、 ひとつは山梨市の永昌院です。 ここは鐘のお寺です。 この鐘は音色のすばらしさから各地を流転するという運命をたどります。 大和村の天目山栖雲寺は岩に彫られた仏様、 磨崖仏が名高いですね。 下部町の方外院は日本一の大絵馬があります。 千匹の絵馬が描かれていて、 江戸後期の飢饉 (きん) の時に観音様のお告げで20年かけて作られたものです。 こちらの瀬戸の観音様は年に一度ご開帳ですが、 とてもすばらしい表情をなさっています。
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| 第98番 方外院の「千匹馬」 |
このほか、 厳格な禅の修行道場や、 必ずだれかに似ている顔を持った像があるという羅漢寺 (敷島町) の五百羅漢とか、 親しめる表情をしている石仏のお寺ですとか、 山梨にこれだけたくさんのすばらしいお寺があるということは驚きです。 自慢できることだと思います。
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| 第64番 羅漢寺 五百羅漢 |

