南巨摩郡身延町道143 tel0556(37)0155
宗派 曹洞宗
本尊 聖観世音菩薩
町指定文化財・一切経六千巻
下部支所(旧下部町役場)から車で16分/JR身延線久那土駅から車で10分/「駿道橋」バス停から徒歩8分
拝観料 志納
駐車場あり
 慈観寺は久那土(くなど)の奥の「道(どう)」にある。ここへは市川大門線を南に進んで割石峠を越え、六郷を過ぎて峡南橋の信号を左折する。さらに古関(ふるせき)方面へ5kmほど直進すると左手の山腹に寺はある。途中の久那土からは、桜の並木におおわれた三沢川に沿って進む景色のよい道が続き、両側の山がだんだんと高さを増しながら懐深く奥へ広がっていくような場所だ。地名の「道(どう)」という名は、曲がりくねった川に沿って道が通じていることから呼び習わされたというが、古くからの言い伝えでは、この地は小さな湖で、ほとりに水船という集落があり、そばに観音堂があった。この「堂」という音が「道」に転じたのだともいう。
 寺記によれば神亀5年(728)、甲斐国志では天平勝宝年間(749〜56)に行基が聖観音像を刻み、それを安置したことに始まるという。 その後長く真言の道場であったが、 明徳4年(1393)、国志では貞治6年(1367)に曹洞宗に転じ、南明寺(第84番)末となった。南明寺は甲州、遠州などに孫末寺まで含めると117ヵ寺を有する曹洞宗の大寺で、慈観寺はその筆頭格として24の末寺をもつ寺として発展、江戸期には現在の建物のほか開山堂、衆堂、中雀門、十王堂などの堂塔伽藍が立ち並んでいた。


毎年3月に開かれる法要。大般若経を転読する
 同寺の経蔵には輪蔵(輪転の書架)に一切経六千巻が収められていて町の文化財に指定されている。これはかつて駿河(静岡県)の谷川山梅林院にあったものをこの地に移したというが、資料によると「甲府の小野崎喜平という人が梅林院へ納めたものを慈観寺が買い戻した」とも伝えている。ほかに高さ20cmあまりの、頭が人間で体が竜の彫刻がある。巌頭(岩の上)にとぐろを巻いた珍しいもので、本尊の脇にケースに入れられて安置されている。寺の話では山号の巌龍山にちなんだものではないかという。
 庭には1本の大きなサクラの木があるが、これは県内でも有名な古木の一つで、写真家の被写体になっている。また三沢川の川岸にもたくさんのサクラが植えられていて、春には周辺一帯がサクラの花で埋まり、山里の風物詩として大勢の人が訪れにぎわう。


輪  蔵