北杜市須玉町上津金1222 tel0551(46)2017
宗派 臨済宗妙心寺派
本尊 釈迦如来
県指定文化財・木造千手観世音菩薩立像
須玉支所から車で20分/中央自動車道長坂I.C.から車で20分/「津金」バス停から徒歩30分
拝観料 志納
駐車場あり  W.C. あり
 なぜ山の中に「海岸」寺が?
 この寺を訪れる人達に疑問として浮かぶのが寺名だろう。寺名の由来については二つの説がある。一つは、経文の中の「観世音の本所、補陀落山(ふだらくさん)は天竺南海中にあり」の補陀落山を別名「海岸孤絶山」というところによる説。もう一つは太古の甲斐の国が湖水であり、その地形からによる説だ。
 海岸寺は、行基が養老年間(717〜723)に海抜1000mのこの地に庵を構えたときにはじまったといわれ、天平9年(737)に国の祈願所として聖武天皇より「光明殿」の勅額を賜ったと伝えられている。その歴史は古く随所にその流れを見ることができる。
 若神子で国道141号線と別れ須玉川に沿って北上、清里須玉線(県道605号)を津金衆の古里・津金へと向かう。下津金、上津金の集落を抜けさらに1kmほど坂道を進むと、舗装路の両側に高さ5mほどの石柱が現れる。昔の寺領の境だろうか。寺はまだ1km先にある。かつては県道に面していた参道入口も新道建設のため目に付かなくなってしまった。参道を登って寺に行くには石柱から500m進み左折して旧道に入る。さらに100m行く道順をとる。


境内に100体もの石仏が並ぶ
 山の尾根に作られた参道は、急斜面は石段で、また緩斜面は石畳で敷き詰められ、石の一つ一つが古い歴史を物語っている。参道を登りつめると三門、様々な石仏が並ぶ境内に着く。長野県高遠の石仏師・守屋貞治が十余年の歳月を費やして彫り上げたもので、その数百余体という。西国三十三ヶ所、坂東三十三ヶ所、秩父三十四ヶ所の観音像と延命地蔵尊で、一体として同じものがない見事なもの。この寺の最大の見所ともいえる。
 本堂は慶長8年(1603)建立され、寛文11年(1671)に再建され福聚殿(ふくじゅでん)とよばれる。本尊の釈迦牟尼如来が安置されている。本堂左手の石段上にある観音堂は大悲閣と呼ばれ、本堂と同じ慶長8年の建立、現在の建物は文化7年(1810)、徳川末期の名工立川和四郎富昌が再建築したもので、正面のアワとウズラの彫刻は日本の木彫史を飾る貴重で、名高いものだ。
 このほか無量殿(むりょうでん)と呼ばれる経堂、鐘楼、仁王門などが3haの広い境内に調和良く配置され、禅寺の厳かさを知らされるとともに、春はツツジ、秋は紅葉と四季折々の自然が楽しめる。


観音堂の彫刻